藤田浩一|音楽プロデューサー

REVIEW

トライアングルサウンドレビュー
You-Ju(優樹)さんによる藤田浩一氏に関連した作品についてのレビューです。

2021年8月23日【その1】
MOVIN’GROOVIN’[CDアルバム] KAZZ(川上和之)

近年、日本の70年代80年代中心の「シティポップ」が、高く再評価されており、林哲司さん作曲の「真夜中のドア」が音楽配信で世界的に再ヒットしたり、角松敏生さんや山下達郎さん等の楽曲が改めて人気となっています。
藤田浩一さんが運営した「トライアングルプロダクション」に所属したアーティストが織りなしたサウンドは、まさに、和製シティポップ・和製AORの王道であり、トライアングルサウンドとも総称されています。
(筆者は、トライアングルサウンドに感銘を受け、今も大好きであり、それをオマージュした楽曲創作活動も行なっております。)
そんなトライアングルサウンドや関連した作品の中から、筆者の思い入れの強い楽曲やアルバムについて、個人的見解ではありますが、レビューを書かせて頂きます。
なお、トライアングルサウンドの中心は「オメガトライブ」による楽曲と思っておりますが、まずは、あえて(笑)、オメガ以外のアーティストからご紹介していきたいと思います。


第1回目は、KAZZさんのアルバム「MOVIN’GROOVIN’ (1992年発売)をご紹介します。


KAZZさんは、現在は「川上和之」としてミュージカル等でご活動されているみたいですね。 アルバムの収録楽曲は以下のとおりです。


MOVIN' GROOVIN/KAZZ

1 「夏の扉」
作詞:川上和之・藤田浩一、作曲:林哲司、編曲:林哲司・中村圭三
2「最後に消えた虹の色」
作詞:川上和之、作曲:川上和之、編曲:志熊研三
3「BEST FRIENDS」
作詞:川上和之、作曲:藤田浩一、編曲:新川博
4「SPEED OF LIFE」
作詞:川上和之、作曲:川上和之、編曲:新川博
5「南風と海流に出会う島」
作詞:藤田浩一、作曲:川上和之、編曲:新川博
6「遠い約束」
作詞:川上和之、作曲:HAPPO、編曲:新川博
7「青空に追いついて」
作詞:川上和之、作曲:川上和之・仁科かおり、編曲:新川博
8「あの日、決めたのは」
作詞:川上和之、作曲:川上和之、編曲:志熊研三
9「始発」
作詞:川上和之、作曲:川上和之、編曲:新川博

ご本人による楽曲も多いですが、林さん、新川さん、志熊さん他トライアングルサウンドでお馴染みのかたがたが関わっています。プロデューサー藤田さんによる楽曲もありますね。
また、編曲でご参加の中村圭三さんは、DARTSというバンドのメンバーですが、DARTSは秋元康さん&林哲司さんのプロデュースでデビューしており、(トライアングルプロダクション所属ではありませんが)いつかレビューさせて頂きたいバンドです。

さて、本アルバムの中で、筆者の思い入れが特に強い楽曲は(1)夏の扉(3)BEST FRIENDS(6)遠い約束、の3曲です。
「夏の扉」は、全体的な雰囲気としては「ふたりの夏物語(杉山清貴&オメガトライブ)」に近いですが、メロディは「ふたりの夏物語を、マイナーコードベースで解釈を変えているような感じと思いました。
「BEST FRIENDS」は、イントロから鳴り響くギターのカッティングが心地よくカッコイイ曲ですね。Aメロ・Bメロと哀愁感のあるメロディで、サビで雰囲気が変わるのも良いですね。
「遠い約束」は、筆者はアルバム中で一番好きな楽曲です。16ビートで展開し、サビの品のある哀愁感が絶妙で素晴らしいと思いました。
(今後のレビューでも、「哀愁」という表現が多く出てくるかもしれませんが、私にとっては大事なキーワードです(笑))
その他の楽曲でも、本アルバムが藤田さんのプロデュースということもありますので、オメガトライブに通じる表現が散りばめられていますが、「南風と海流に出会う島」は、リゾート感の有るオメガに近いバラードですし、「青空に追いついて」のイントロはオメガの楽曲を強く想起させるものでした。
全体的に、爽やかなリゾート感と哀愁感がマッチしたアルバムです。

2021年8月28日【その2】
QUARTERBACK [CDアルバム](池田政典)

第2回のレビューでは、近年は俳優としてご活躍されている池田政典さんのファーストアルバムである「QUARTERBACK(1987年発売)をご紹介します。
池田さんは当時トライアングルプロダクション所属で、アルバムのプロデュースは藤田浩一さんです。
アルバムの収録楽曲は以下のとおりです。


QUARTERBACK/池田政典

1「NIGHT OF SUMMER SIDE」
作詞:売野雅勇、作曲:NOBODY、編曲:新川博
2「BEAT OF CLASH」
作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:船山基紀
3「ALL OR NOTHING」
作詞:青木久美子、作曲:杉山清貴、編曲:船山基紀
4「SHADOW DANCER」
作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:船山基紀
5「ROOM OCEAN VIEW」
作詞:田口俊、作曲:杉山清貴、編曲:新川博
6「BURNING EYES」
作詞:風見律子、作曲:和泉常寛、編曲:船山基紀
7「RIVER SIDE ジレンマ」
作詞:青木久美子、作曲:杉山清貴、編曲:船山基紀
8「LET ME LOVE」
作詞:藤田浩一、作曲:西原俊次、編曲:新川博

本アルバムは、作詞で売野雅勇さん、田口俊さん、青木久美子さん、作曲でオメガトライブのメンバーや、林哲司さん、和泉常寛さん、編曲で新川博さん、船山基紀さん等、トライアングルサウンドに関わったかたがたがオールスターズで参加しているような作品ですね。プロデューサー藤田さんご自身の作詞曲もありますね。
本アルバムの中で、一般的な知名度が高い楽曲は、アニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』の主題歌でありトップテンヒット曲になった「NIGHT OF SUMMER SIDE」かもしれませんが、その他にも素晴らしい楽曲が収録されています。

本アルバムの中で、筆者の思い入れが特に強い楽曲は(2)BEAT OF CLASH(4)SHADOW DANCER、の2曲です。
「BEAT OF CLASH」は、打ち込みの軽快なアレンジをバックに、心地良さも感じられる哀愁感のあるメロディの楽曲です。
「SHADOW DANCER」は、1986オメガトライブの初期の楽曲に通じる世界観で、16ビートに乗せたメロディが素晴らしく、筆者はアルバム中で一番好きな楽曲です。彼のセカンドシングルでしたね。
その他の楽曲では、「ROOM OCEAN VIEW」と「LET ME LOVEの印象が強く残ります。 どちらも都会的なバラードですが、それぞれ違う個性が有ります。「ROOM OCEAN VIEW」は、歌詞は海辺の物語ですが、メロディとアレンジで都会的な恰好良さがあります。「LET ME LOVE」は、かなりカルロスオメガの楽曲の雰囲気に近いバラードで、「Stay Girl Stay Pure」を想起させます。
その他にも良い楽曲が目白押しの素晴らしいアルバムです。

2021年9月15日【その3】
「風のPassword」「春のモーニング・トレイン」「青春のOne-way Ticket」[EPレコード](井浦秀知)

第3回のレビューでは、当時俳優・歌手としてご活躍されていた井浦秀知さんのシングルレコード3部作(1985年~1986年発売)をご紹介します。
本作品もプロデュースは藤田浩一さんです(私の手持ち資料では、正確なエビデンスはありませんが、間違い無いと思われます)。
おそらく、今までCD化はされていないと思われますので、今後是非CD化をお願いしたい作品です。
レコード3枚の収録楽曲は以下のとおりです。


春のモーニング・トレイン/井浦秀知

1風のPassword
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
2Title Back
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:林哲司

春のモーニング・トレイン

1春のモーニング・トレイン
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:新川博
2雨のストーリー
作詞:有川正沙子、作曲:林哲司、編曲:志熊研三

青春のOne-way Ticket

1青春のOne-way Ticket
作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:新川博
2September Wave
作詞:有川正沙子、作曲:林哲司、編曲:新川博

これら3枚のレコードでも、作詞は青木久美子さん、有川正沙子さん、売野雅勇さん、作曲は全て林哲司さん、編曲で林哲司さん、新川博さん、志熊研三さん、とトライアングルサウンドではお馴染みのかたがたが参加されています。
当時トライアングルプロダクションでは、菊池桃子さんが女性アイドル路線で多くのヒット曲を生み出しましたが、井浦さんの作品は、菊池さんの楽曲の路線の男性版というようなイメージも有ります。「青春」の匂いが爽やかで鮮やかな路線です。
レコード表題曲は3曲とも、筆者の思い入れも強いですが、特に「風のPassword」「青春のOne-way Ticket」は秀逸だと思います。
風のPasswordは、シンセサイザーとギターのカッティングの印象的なイントロから始まり、打ち込みのベースラインが心地良く展開し、Aメロ・Bメロとも爽やかな哀愁感を持ちながら、サビのメロディでインパクトが爆発する感じですね。
青春のOne-way Ticketは、タイトルどおり「青春」のイメージを強く持つ曲で、上品なサビのメロディが、とても印象的です。
なお、カップリング曲の中では「雨のストーリー」が、強く印象に残りました。 オメガトライブの雰囲気にかなり近い曲で、メロディ・アレンジとも、素晴らしいと思います。 繰り返しになりますが、是非CD化されてほしい3作品です。

2023年2月14日【その4】
「AQUA CITY」 [CDアルバム](杉山清貴&オメガトライブ)

前回の執筆から、随分時間が経ってしまいました。筆不精をお詫びいたします。
さて、今回は、満を持して「杉山清貴&オメガトライブ」のCDアルバムをご紹介します。
今年で、「杉山清貴&オメガトライブ」デビュー40周年なのですね。改めて、当該楽曲の数々をプロデュースなされた、藤田さんのご功績に敬意を表するとともに、今も、これらの楽曲を聴く楽しみをいただけることを感謝し、かみしめたいと思います。

さて、本作品は、「杉山清貴&オメガトライブ」の記念すべき初アルバムで、1983年に発売されました。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


AQUA CITY/杉山清貴&オメガトライブ

1「SUMMER SUSPICION」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
2「PADDLING TO YOU」
作詞:秋元康、作曲:杉山清貴、編曲:後藤次利
3「MIDNIGHT DOWN TOWN」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
4「LIGHT MORNING」
作詞:秋元康、作曲:杉山清貴、編曲:志熊研三
5「UMIKAZE TSUSHIN」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
6「TRANSIT IN SUMMER」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
7「TRADE WIND」
作詞:秋元康、作曲:杉山清貴、編曲:志熊研三
8「SEXY HALATION」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
9「ALONE AGAIN」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司

オメガトライブの楽曲というと、私の個人的な勝手な記憶では、康珍化さん作詞の曲が多いイメージだったのですが、本アルバムでは、半数以上の6曲が秋元康さんの作詞なのですね(実際、他のアルバムでも、多数の秋元さん作詞の曲があります)。
作曲は、林哲司さんと杉山さんが担当されています。編曲は、林さん、志熊研三さんと、後藤次利さんが担当されています。後藤さんは、私が大好きな作曲家・編曲家・ミュージシャンのひとりですが、杉山清貴&オメガトライブの楽曲では、確か、参加されているのは、この曲と「渚のSea-dog」だけですよね。

本アルバムで、筆者の思い入れが特に強い楽曲は、何といっても「SUMMER SUSPICION」です。
本楽曲は、私が、いわゆるCITY POP、AORのジャンルの楽曲が好きになった、きっかけの曲であり、私にとってトライアングルサウンドへの入口です。林哲司さんという作曲家を、この曲で知り、この後、アイドル等へのご提供楽曲を含め、全ての林さん作曲の楽曲を制覇する勢いで(笑)、彼の楽曲の「探求」を進めました。
SUMMER SUSPICIONは、日本的な泣きのメロディとAOR系の都会的なアレンジが相まって、沢山のファンの支持を得た曲だと思います。
他の収録曲も名曲揃いですが、「MIDNIGHT DOWN TOWN」「TRANSIT IN SUMMER」「SEXY HALATION」の印象が強いですね。
「MIDNIGHT DOWN TOWN」は16ビートの軽快な曲で、イントロも含めアレンジがカッコいいですね。サビでの転調も良い感じですし、バックコーラスも味があります。
「TRANSIT IN SUMMER」は、イントロに哀愁があり、サビの突き抜けるようなメロディの爽快感が、たまらない曲です。
「SEXY HALATION」のイントロも好きですし、歌唱導入部のメロディは、特に好きですね。サビの最終部分の盛り上げかたも勉強になります。 また、「UMIKAZE TSUSHIN」は、ファンの間では有名かもしれませんが、当初のシングル予定曲だったようですね。洋楽アーティストのASIAなどの世界観も反映された名曲ですね。

2023年3月30日【その5】
「BEACH HIPPIES」 [CDアルバム](B.N.O.T.[Brand New Omega Tribe])

今回は「ブランニュー・オメガトライブ」のCDアルバムをご紹介します。
本作品は、「オメガトライブ」としては、三代目のボーカリスト「新井正人」さんを迎えた、藤田浩一さんプロデュースの作品で、1994年に発売されました。
新井正人さんは、オメガトライブの前に、元々シンガーソングライターとしてご活躍されています。ソロ活動以前には、コーラスグループ「パル」に2代目リードボーカルとして加入し、加入後にリリースされた「夜明けのマイウェイ」が、日本テレビ系連続ドラマ『ちょっとマイウェイ』に主題歌として起用されヒットしました。また、ソロアーティストとして、1980年代後半に発売した3枚のCDアルバムには、AOR路線で良質な楽曲が収録されています。さらにソロとして『機動戦士ガンダムΖΖ』の主題歌「アニメじゃない-夢を忘れた古い地球人よ-」等のアニソンも歌唱し、アニメのファンからも高い支持を受けています。
ちなみに、2009年に、インディーズ作品として制作された新井さんのCDアルバム「Again」において、筆者であるYou-Juは(作詞・作曲で)1曲、楽曲の提供をさせて頂いております。私事ですみませんが・・・

さて、新井さんのご紹介が長くなりましたが、以下本作品の詳細です。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


BEACH HIPPIES/B.N.O.T.[Brand New Omega Tribe]

1「Marry Me」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
2「愛さなくていいから」
作詞:売野雅勇、作曲:F.I.、編曲:新川博
3「Mac.Love」
作詞:売野雅勇、作曲:新井正人・F.I.、編曲:新川博
4「Paradise In The Snow」
作詞:売野雅勇、作曲:新井正人、編曲:新川博
5「Still It’s Summer」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:新川博
6「渚から始めよう」
作詞:売野雅勇、作曲:新川博、編曲:新川博
7「愛すれば」
作詞:秋元康、作曲:F.I.、編曲:新川博
8「ALONE AGAIN」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:新川博
9「いつまでもこのままで」
作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:新川博
10「傷つくほど愛してる」
作詞:売野雅勇、作曲:F.I.、編曲:新川博

この作品でも、作詞で売野雅勇さん、秋元康さん、作曲では林哲司さん、和泉常寛さん他、編曲では全曲が新川博さん、とトライアングルサウンドではお馴染みのかたがたが参加されています。
ちなみに作曲のF.I.さんは、藤田浩一さんのペンネームのようですね。
CDの歌詞カード内に、【Vocal & Conduct:新井正人、Piano:EMULATOR XP、Guitar:WAVESTATION SR、Bass:MIDI MOOG、Drums:FORAT 9000】の記載が有り、「ブランニュー・オメガトライブ」は、「バンド」ではなく、藤田浩一さん主導の「プロジェクト」であることが分かります。

本作品で、筆者の思い入れが強い楽曲は、「Marry Me」「いつまでもこのままで」「傷つくほど愛してる」です。
「Marry Me」 は、シングルとしても発売されました。和泉常寛さん作曲で、Aメロ・Bメロも上品ですが、特にサビのメロディが、とても品が有って美しく、筆者は物凄く好みです(笑)。新川さんのアレンジもイイ感じです。
「いつまでもこのままで」は、特にAメロが、林さんの泣きのメロディ全開という感じで良いですね。アレンジも好きです。あと2番の後の間奏のコーラスも、興味深いです。
「傷つくほど愛してる」は、イントロから引き込まれて、藤田さん作曲のメロディに哀愁が有り、さすが、という感じです。とても好きな曲です。

なお、その他では、「ALONE AGAIN」は、オメガトライブのファンにはお馴染みだと思いますが、杉山清貴&オメガトライブのアルバム「AQUA CITY」に収録の楽曲です。オメガファンの間では、稀代の名曲で鉄板バラードとのご意見もありますね。カバーされていることに否定的なご意見もあるのかもしれませんが、筆者は、アレンジの違いによって、こちらのバージョンにも存在感が有ると思いました。

2023年5月1日【その6】
「Navigator」 [CDアルバム](1986オメガトライブ)

今回は「1986オメガトライブ」の、CDアルバムをご紹介します。
本作品は、「オメガトライブ」としては2代目のボーカリスト「カルロス・トシキ」さんを迎えた、藤田浩一さんプロデュースの作品で、1986年に発売されました。
「杉山清貴&オメガトライブ」解散後、ファンである私としては、杉山さんはソロ活動をするとは想像していましたが、新たな「オメガトライブ」が誕生するとは思っておらず、その情報を初めて聞いたときに、とても嬉しく感じたことを記憶しています。
杉山さん時代のオメガトライブの路線を大きな意味では継承しつつ、新たなボーカリストを迎えた化学反応も有り、とても聞き応えがあります
カルロスさんはルックスも含め、当時アイドル的な人気もありましたが、特徴のある声質で、私はボーカリストとして純粋に大好きです。

本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


Navigator[Omega Tribe1986]

1「Blue Reef」
作詞:矢野朝子、作曲:高島信二、編曲:新川博
2「You Belong to Him」
作詞:有川正沙子、作曲:西原俊次、編曲:椎名和夫
3「Aquarium in Tears」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
4「Navigator」
作詞:藤田浩一、カルロス・トシキ、作曲:西原俊次、編曲:船山基紀
5「Night Child」
作詞:矢野朝子、作曲:西原俊次、編曲:椎名和夫
6「君は1000%」
作詞:有川正沙子、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
7「21 Candles」
作詞:有川正沙子、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
8「Older Girl」
作詞:藤田浩一、作曲:高島信二、編曲:船山基紀
9「North Shore」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博

この作品では、作詞で有川正沙子さん、売野雅勇さん、プロデューサーの藤田浩一さん、作曲ではメンバーの高島さん、西原さん、さらに1986オメガトライブからご参加の和泉常寛さん、編曲で新川博さん、船山基紀さん等々とトライアングルサウンドではお馴染みのかたがたが参加されています。ちなみに、編曲の椎名和夫さんは、山下達郎バンドをはじめ、数々のミュージシャンとのセッションで有名ですね。現在は、ミュージシャンの権利を守るべく、「演奏家権利処理合同機構MPN」という団体のトップとして活動されているみたいです。

本作品で、筆者の思い入れが特に強い楽曲は、まずは、やはりシングルデビュー曲でドラマの主題歌にもなった「君は1000%」です。曲のタイトルを初めて聞いたとき、言葉のセンスが有るなあと感嘆しました。
林哲司さんが創作されるような楽曲と、雰囲気が近い印象もありますが、私個人的には、良い意味で違う、和泉さんの素晴らしい楽曲創作センスを感じます。品があり透明感の有る優しさというか、そんな印象です。勝手な個人的な印象では、林さん作曲の楽曲では、感情に直接訴えてくるような強さを感じるものが多いです。
他には、西原さんが作曲の「You Belong to Him」「Navigator」も大好きです。
「You Belong to Him」は、全体的なメロディの哀愁感にドライブ感が加わって素晴らしいです。
「Navigator」は、16ビートのおしゃれなアレンジに、これまた哀愁感の有るメロディが相まって、とても良い感じです。
また、「Night Child」は名バラードとして、ファンの中でも評価が高い1曲ですね。Bメロでの展開、サビのメロディも品が有ります。
さらに他にも、書き切れなくなってしまいますが「21 Candles」のギターのハード目のアレンジも好きですし、「Older Girl」のアレンジ・メロディも良いですね。

2023年6月1日【その7】
「TROPIC of CAPRICORN 〜南回帰線〜」 [CDアルバム](菊池桃子)

今回は、「菊池桃子 さんのCDアルバムをご紹介します。
本作品は、菊池さんの2枚目のアルバムで、藤田浩一さんプロデュースで、1985年に発売されました。
この当時は、ロックやポップスのバンドサウンド等の音楽好きのかたがたにとっては、「アイドルの楽曲」について否定的なご意見もあったように記憶しています。
私は、当時から男性・女性に関わらずアイドルの楽曲も大好きでした。その多くが、著名な作詞家・作曲家のかたにより創作され、バックのサウンドの演奏にも一流のスタジオミュージシャンのかたが多くご参加なされていましたので、純粋に楽曲自体を楽しんでおりました。今も変わらずです。
なお、当時は、アイドルの楽曲が好き、と言うと、そのアイドルご本人自体「だけ」のファンであると誤解されることも多く、発言しにくい雰囲気も有りました。もちろん、思春期の自分にとって、アイドルご本人の魅力も十分感じておりましたが、楽曲は切り分けて鑑賞させて頂いていました。

前置きが長くなりました。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです


TROPIC of CAPRICORN 〜南回帰線〜

1「卒業」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
2「カレンダーにイニシャル」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
3「恋のProjection」
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
4「真夏のSequence」
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
5「Dear Children」
作詞:青木久美子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
6「Boy Friend」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
7「Southern Cross Dreaming」
作詞:藤田浩一、作曲:林哲司、編曲:林哲司
8「Alfa Flight」
作詞:有川正沙子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
9「愛のSurf Break」
作詞:藤田浩一、作曲:林哲司、編曲:林哲司
10「南回帰線」
作詞:有川正沙子、作曲:林哲司、編曲:林哲司

この作品でも、作詞で秋元康さん、青木久美子さん、有川正沙子さん、藤田浩一さん、作曲・編曲は全曲、林哲司さんと、トライアングルサウンドではお馴染みのかたがたがご参加されています。
林哲司さんが全作曲・編曲ということで、全体的な楽曲のコンセプトは、オメガトライブの路線にも、かなり近いと感じられて、大好きです。
本作品で、筆者の思い入れが強い楽曲は、「恋のProjection」 「Dear Children」 「Boy Friend」 「Southern Cross Dreaming」です。
「恋のProjection」は、まずは全体的なメロディの良質な感じが、とても良いですね。1番終わりのアレンジの処理もカッコいいです。
「Dear Children」は、特にBメロからサビにかけての哀愁感が好きです。
「Boy Friend」は、まずイントロが最高です。そこから展開される品の有る哀愁感が、全体的にこの曲を印象づけますね。2番後に大サビもあり、さらに最後のサビも転調と、お手本のような名曲です。
「Southern Cross Dreaming」は、サビ前の導入でワクワクさせ、期待を裏切らないサビのメロディ・アレンジです。
また、最後の曲「南回帰線」は泣けるバラードで、アルバムのラストとして素晴らしい締めだと思いました。

2023年7月1日【その8】
「BODY」 [CDシングル](Twin Fizz)

今回は「Twin Fizz」の、CDシングルをご紹介します。
本作品は、藤田浩一さんプロデュースで1991年に発売されました。
「Twin Fizz」は、仁科かおりさんと中谷内映(小池映)さんのデュオによるグループです。解散までにシングル3枚、アルバム2枚をリリースしていますが、本作品は3枚目のシングルです。
仁科さんは、Twin Fizz解散後、eye'sという、こちらも女性デュオのグループに参加されました。eye'sの楽曲も、いずれご紹介させて頂きたいと思っております。
また、仁科さんは、数多くのレコーディング・ライブでのコーラス、AKB48関連の楽曲の仮歌・コーラス等々、その後も幅広く活動され、音楽業界を支えていらっしゃいます。
中谷内さんは「小池映」さん名義で、その後、ソロ活動をされ、CD発売もなさっています。筆者は2枚のCDアルバムを聴かせて頂きました。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです


「BODY」 [CDシングル](Twin Fizz)

1「BODY」
作詞:中谷内映・康珍化、作曲:和泉常寛、編曲:清水信之
2「まだまだあなたが好き」
作詞:中谷内映、作曲:仁科かおり、編曲:新川博

この作品では、タイトル曲のBODYの作曲は、1986オメガトライブ等でお馴染み、和泉常寛さんがご担当、カップリング曲の作曲はメンバーの仁科さん、作詞は康珍化さんとメンバーの中谷内映さんがご担当されています。
編曲では、清水信之さんと新川博さんがご担当されています。清水さんも、私は大好きなミュージシャン・編曲家です。「打ち込み」のアレンジにも品が有って個性も有りますね。
タイトル曲の「BODY」は、全体的に和泉さんの上品な哀愁感が強力で大好きな曲です。
サビの(1番でいうと)「心が揺れても~」の部分のメロディが良いですね。また、1番のサビの「今はBODY」の部分と2番のサビの「抱いてBODY」を比べてみると、「今は」と「抱いて」のところで言葉数は同じなのに、譜割を変えているところが、大変印象的で効果的だと思いました。
全体的にアレンジには勢いがあり、シンセブラスが良い感じで、楽曲にぴったりです。
カップリングの「まだまだあなたが好き」は、新川さんのアレンジということもあり、イントロからオメガトライブの楽曲とシンクロするようなイメージで、まさにトライアングルサウンドと呼べる楽曲です。 明るい感じで始まりBメロの展開も良く、こちらも好きな曲です。

2023年8月1日【その9】
「ハッピー・バースディ 愛が生まれ変わる日」[EPシングル](西尾芳彦&ライトスタッフ)

今回は「西尾芳彦&ライトスタッフ」の、EP(アナログレコード)シングルをご紹介します。
本作品は、藤田浩一さんプロデュースの作品ではないかもしれませんが、トライアングルサウンドでお馴染みの和泉常寛さん作曲ですので、ご紹介させて頂きます。1986年に発売されました。
当時、大ヒットした、というわけではありませんが、日本テレビのドラマの主題歌として発売されたこともあり、知る人ぞ知る名曲、といった感じでしょうか。

西尾芳彦さんは、(本レコード記載のプロフィールによると)1961年生まれで、1984年のヤマハのポピュラーソング・コンテスト全国大会での入賞をきっかけに同年デビュー(当時はバンドVOICEとしてコンテスト入賞・デビュー)。1985年11月にVOICE解散後、新メンバーで「RIGHT STAFF」を結成し、本レコードの発売となったとのことです。
その後、福岡で音楽塾を設立し、その音楽塾は「YUI」さんや「絢香」さん「家入レオ」さん等を輩出し、西尾さんが彼女たちをプロデュースしています。 また、今後、別のレビューでご紹介させて頂くつもりですが、西尾さんは、林哲司さんが手掛けた、テレビドラマ「ジャングル」のサウンドトラックCDにもご参加なされています
。 ボーカリストとしては、ハスキーな声が魅力的です。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


1「ハッピー・バースディ 愛が生まれ変わる日」
作詞:大津あきら、作曲:和泉常寛、編曲:佐藤準
2「ふたりだけのDESTINY」
作詞:大津あきら、作曲:和泉常寛、編曲:鷺巣詩郎

この作品では、タイトル曲・カップリング曲とも作曲は和泉常寛さんがご担当、作詞は両曲とも大津あきらさんのご担当です。大津さんは1000曲近い数の楽曲の作詞をなされている作詞家で、「さよならのオーシャン」等、杉山清貴さんのソロ楽曲も手掛けていらっしゃいますね。
編曲は、佐藤準さんと鷺巣詩郎さんが担当なされています。お二人とも、とても著名なミュージシャンですが、佐藤準さんも、大津あきらさんと同様に「さよならのオーシャン」等、杉山清貴さんのソロ楽曲も手掛けていらっしゃいますね。鷺巣さんは、菊池桃子さんの「Nile in Blue」の編曲も手掛けていらっしゃいますし、庵野秀明監督アニメ作品の音楽監督等としても著名ですね。

それでは、楽曲自体のご紹介です。
タイトル曲の「ハッピー・バースディ 愛が生まれ変わる日」は、オメガトライブの楽曲のファンのかたには是非聞いて頂きたい曲です。曲の雰囲気がオメガの楽曲に、とても近いと思います。
こちらの楽曲でも和泉さんが創り出す上品な哀愁感に強力に惹かれます
。 まず、Aメロの頭の「ダイヤルを~」のところの「ヤルを」の部分のメロディと、それに続くアレンジが好きです(マニアックですかね(笑))。Aメロ終わりのコード感・アレンジも良いですね。その後Bメロも順調に盛り上がっていき、サビ前の、やや大袈裟と言われるかもしれないアレンジ(私は、その部分も大好きですが)で最高に盛り上がりワクワクさせながらサビにつながります。サビのメロディも期待を裏切らない、素晴らしい曲です。
カップリングの「ふたりだけのDestiny」も、哀愁有るAメロで始まり、サビの入りのメロディも良い感じで、鷺巣さんの特徴的なシンセベースやシンセブラス等によるアレンジと、メロディが融合した好楽曲だと思います。

2023年9月1日【その10】
「RIVER'S ISLAND」 [CDアルバム](杉山清貴&オメガトライブ))

今回は、「杉山清貴&オメガトライブ」の第2弾のCDアルバムをご紹介します。
本作品は、藤田浩一さんのプロデュースで1984年に発売されました。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


「RIVER'S ISLAND」 [CDアルバム](杉山清貴&オメガトライブ)

1「RIVER'S ISLAND」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
2「ASPHALT LADY」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
3「DO IT AGAIN」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
4「SATURDAY'S GENERATION」
作詞:秋元康、作曲:西原俊次/杉山清貴、編曲:下松誠
5「君のハートはマリンブル」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
6「SAIGO NO NIGHT FLIGHT」
作詞:秋元康、作曲:杉山清貴、編曲:志熊研三
7「BECAUSE」
作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
8「RAINY HARBOR LIGHT」
作詞:小林和子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
9「SILENT ROMANCE」
作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司

本作品では、作詞は、おなじみの秋元康さん、康珍化さん、そして小林和子さんがご担当されています。小林さんは、アイドルの楽曲など数多くの作詞をなされている作詞家のかたですが、私の知る限りでは、他のトライアングル所属アーティストでは、「レイジー」の曲の作詞があったと思います。
作曲は、林哲司さんとメンバーの杉山さん・西原さんが担当なされています。編曲は、林さん、志熊研三さんと、松下誠さんが担当なされています。松下さんは、ギタリスト・アレンジャー等として著名なミュージシャンですが、アルバム「NEVER ENDING SUMMER」収録曲等でも編曲をなされていますね。

本アルバムで、筆者の思い入れが強い楽曲は、まずはシングルとしても発売された「ASPHALT LADY」と「君のハートはマリンブルー」です。
「ASPHALT LADY」は、シングル収録分と比べ演奏時間も1分ほど長いアルバム・ヴァージョンです。シングルのセールス的には、やや厳しかったようですが、私は、かなり好きな楽曲です。当時、杉山さんがご出演のラジオ番組で、『この楽曲を初めて聞いたとき「歌謡曲、来た!」と思いました』との趣旨でお話をされていました。当時で言う「歌謡曲」という言葉のニュアンスは、最近で言う「売れ線のJ-POP」というようなイメージだと思いますが、「歌謡曲好き」の私にとって、サビのメロディや全体的なアレンジを含め、ど真ん中ストライクといった感じでした。
「君のハートはマリンブルー」は、ドラマの主題歌となった楽曲ですが、ミディアムテンポの哀愁感がたまらない名曲です。後半のDメロ(大サビ)のメロディも、とても良いですね。
他の収録曲も名曲揃いで、正直、全曲コメントしたいところですが、多少抜粋します。
「RIVER'S ISLAND」は、全体的に透明感があり、16ビートの軽快な曲ではありますが、哀愁感も程よく色付けられた名曲です。
「DO IT AGAIN」は、前の2曲の流れで自然に耳に残るアップテンポの心地よい曲です。Bメロ他のバックコーラスも良いですね。 「SATURDAY'S GENERATION」は、AメロからBメロ、Bメロからサビ、それぞれの展開がとても印象的な名バラードです。サビのメロディは素晴らしいですね。
「SAIGO NO NIGHT FLIGHT」も、全体的に哀愁感有るミディアムバラードで、特にサビの最後の部分の泣きのメロディが好きです。 以上、大好きなアルバムの収録曲レビューとさせて頂きます。

2023年12月1日【その11】
「Crystal Night」 [CDアルバム](1986オメガトライブ)

今回は「1986オメガトライブ」の、2枚目のCDアルバムをご紹介します。
本作品も、藤田浩一さんプロデュースの作品で、1987年に発売されました。


「Crystal Night」 [CDアルバム](1986オメガトライブ)


1「Counterlight」
作詞:売野雅勇、作曲:西原俊次、編曲:船山基紀
2「Lady Free」
作詞:有川正沙子、作曲:高島信二、編曲:新川博
3「Phoenix 」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:船山基紀
4「Indian Summer」
作詞:有川正沙子、作曲:西原俊次、編曲:新川博
5「I'll Never Forget You」
作詞:戸沢暢美、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
6「Crystal Night」
作詞:藤田浩一、カルロス・トシキ、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
7「Ipanema Rain」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
8「Super Chance」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
9「For Each Other」
作詞:藤田浩一、カルロス・トシキ、作曲:和泉常寛、編曲:新川博

この作品でもデビューアルバムと同様に、作詞で、有川正沙子さん、売野雅勇さん、プロデューサーの藤田浩一さん、ボーカルのカルロスさん、作曲ではメンバーの西原さん、高島さんや、和泉常寛さん、編曲で新川博さん、船山基紀さん等々と、トライアングルサウンドではお馴染みのかたがたが参加なされています。
2枚目のアルバムとして、杉山清貴&オメガトライブとは、また少し違う独自の「カルロスオメガのサウンド」が確立された感じがありますね。全体的に都会的でキラキラしたイメージです。

本作品で、筆者の思い入れが強い楽曲は、まずは、2枚目のシングル曲で、CMにも使われた「Super Chance」です。「君は1000%」の路線を踏襲しながら、爽やかな哀愁感を持った好楽曲で、大好きです。
他には、「Counterlight」、「Lady Free」も良いですね。
「Counterlight」は、西原さんの作曲で、サビの泣きのメロディが最高です。Aメロやサビメロのバックのキーボードのリフも良い感じです。
「Lady Free」は、高島さんの作曲で、ドライブ感の有るイントロで始まり、Aメロのバッキングのエレピのフレーズがオメガサウンドの定番で安心します。サビは明るさと哀愁が同居している感じで、好きなメロディです。
「Indian Summer」も、「Counterlight」「Lady Free」と統一感が有り、良い曲だと思います。
ラストの「For Each Other」は、癒しのイメージのバラードでアルバムの締めくくりに相応しいですね。

2024年2月1日【その12】
「青山killer物語」 [CDシングル](ラ・ムー)

今回は「ラ・ムー」の、CDシングルをご紹介します。
本作品は、藤田浩一さんプロデュースで1989年に発売された、ラ・ムーの4枚目のシングルです。
「ラ・ムー」は、読者の皆様ご存知の菊池桃子さんを、中心とした「バンド」であり、ブラックコンテンポラリーミュージックと日本の(当時で言う)歌謡曲を融合したような楽曲を発表しました。解散までにシングル4枚、アルバム1枚をリリースしています。

活動当時は、楽曲の傾向も含め、それまでの菊池桃子さんのイメージであった「清楚な王道アイドル」とは異なる路線であったため、どちらかというと「色物」的な世間のイメージが強かったように思います。ブラックコンテンポラリーミュージックも、1990年代以降に比べれば、日本では、まだそれほど受け入れられていなかったので尚更でした。
ところが、最近10年位の間の、日本の「シティポップ」楽曲の世界的な再評価の流れの中で、特に韓国のプロデューサー/DJのNight Tempoさんが強く推したことも、きっかけとなり、ラ・ムーは再評価されています。当時のアナログレコードが、中古レコード店で、かなり高価で販売されているのは驚きました。
私個人的には、1980年代のブラックコンテンポラリーは大好きなので、当時も、斬新で色物的要素はあるかもしれないが、おもしろい試みだな、と思っておりました。
本作品の収録楽曲は以下のとおりです。


「青山killer物語」 [CDシングル](ラ・ムー)

1「青山killer物語」
作詞:売野雅勇、作曲:和泉常寛、編曲:新川博
2「オリエンタル・プレイボーイ」
作詞:田口俊、作曲:松浦義和、編曲:松浦義和

この作品では、タイトル曲の青山killer物語の作曲は、1986オメガトライブ等でお馴染み、和泉常寛さんがご担当、カップリング曲の作曲はバンドメンバーの松浦さん、作詞は、これまた1986オメガトライブ等でお馴染み、売野雅勇さんと田口俊さんがご担当なされています。
編曲は、新川博さんとメンバーの松浦さんがご担当されています。松浦さんはフュージョングループ「プリズム」のサポートミュージシャンとしても知られているキーボーディストですね。

タイトル曲の「青山killer物語」は、それまでのシングル曲に比べて、ブラックミュージック的な要素は、やや少なくなりました。和泉さんの作曲・新川さんの編曲ということもあり、1986オメガトライブの王道楽曲にかなり近いイメージで、それにラテン系のギターフレーズがうまく味付けされている印象です。サビで楽曲の雰囲気が変わるところも含め、和泉さんの楽曲に多い、安定した上品な哀愁感のある好楽曲です。
カップリングの「オリエンタル・プレイボーイ」は、こちらは、デビュー時のラ・ムーのイメージに近い、当時のブラックミュージック的なアプローチの強い楽曲です。

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